厚生労働省
【更新】新型コロナウイルスに関する企業向けQAの件
厚生労働省から日本経団連を通じ、新型コロナウイルスに関する企業向けQA(4月10日時点版)が公表されました。
【新型コロナウイルスに関する企業向けQA(4月10日時点版)】はこちら
4月6日時点版から変更された点は以下のとおりです。
※経団連事務局がチェックしているため、更新された点に抜けや漏れがある可能性がございます。ご留意ください。
[設問の追加]
4 労働者を休ませる場合の措置(休業手当、特別休暇など)
問6 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請・指示により、事業を休止し、労働者を休業させる場合、どのようなことに注意すべきですか。
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請・指示により事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、労使がよく話し合って、休業中の手当の水準、休業日や休業時間の設定等について、労働者の不利益を回避する努力をお願いします。
また、労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金が、事業主が支払った休業手当の額に応じて支払われます。今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、全国において、解雇等を行わず、雇用を維持する企業に対して、正規雇用・非正規雇用にかかわらず、助成率を中小企業は90%、大企業でも75%に引き上げるなどのさらなる特例措置を講じており、事業主の皆様を積極的に支援していきます。
問7 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請・指示を受けて事業を休止する場合、労働基準法の休業手当の取扱はどうなるでしょうか。
労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありませんが、不可抗力による休業と言えるためには、
①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であることという要素をいずれも満たす必要があります。
①に該当するものとしては、例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請などのように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。
②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、
・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか
・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか
といった事情から判断されます。
したがって、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請や指示を受けて事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではありません。
(疑問点等があれば、お近くの労働局及び労働基準監督署(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html)に御相談ください。)
[項目および設問の追加]
9 労働者派遣
<労働者派遣契約の中途解除等について>
問1 (派遣先の方)改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、都道府県知事からの要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約を中途解除せざるをえない場合、派遣先は、労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる必要はありますか。
労働者派遣法第29条の2により、派遣先は、自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業の機会の確保や休業手当等の支払に要する費用の負担等の措置を講じなければなりません。
派遣先の都合によるかどうかについては、個別の事例ごとに判断されるものであり、改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて派遣先において事業を休止したことに伴い、労働者派遣契約を中途解除する場合であっても、一律に労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる義務がなくなるものではありません。
なお、労働者派遣契約の中途解除が派遣先の都合によらないものであっても、派遣先は、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の(3)に基づき、関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止等を余儀なくされた場合においても、安易な労働者派遣契約の解除はお控えいただくようお願いします。
問2 (派遣先の方)改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、都道府県知事からの要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約の内容の変更等を行う場合に、派遣先は派遣元事業主から派遣料金や金銭補償を求められることになりますか。
労働者派遣契約の履行を一時的に停止する場合や、労働時間や日数など労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合には、それに伴う派遣料金等の取扱いについては、民事上の契約関係の話ですので、労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先でよく話し合い、対応してください。
問3 (派遣元事業主の方)改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事からの要請・指示等を受けて事業を休止した派遣先から、労働者派遣契約の中途解除を申し込まれているが、派遣元としてどのような対応を行うべきでしょうか。
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(3)及び(4)により、派遣元事業主は、ある派遣先との間で労働者派遣契約が中途解除された場合であっても、労働者派遣の終了のみを理由として派遣労働者を解雇してはなりません。
派遣先とも協力しながら派遣労働者の新たな就業機会の確保を図り、それができない場合はまずは休業等を行い雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことが必要です。
また、労働者派遣法第30条に基づき、派遣先の同一の組織単位での派遣就業見込みが一定期間以上である派遣労働者については、派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置の義務(※)が生じます。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀無くされた派遣元事業主が、派遣労働者の雇用の維持のために休業等を実施し、休業手当を支払う場合、雇用調整助成金が利用できる場合がありますので、これを活用すること等により、派遣労働者の雇用の維持を図っていただくようお願いします。
※派遣就業見込みが3年以上の場合は義務、1年以上3年未満の場合は努力義務となります。
<派遣労働者のテレワークについて>
問4 (派遣先の方)改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されたこと等を踏まえ、派遣労働者についてもテレワークの実施を行うに当たり、労働者派遣法に関して留意すべきことはありますか。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、テレワークが有効な対策の1つであり、派遣労働者についても、派遣先が自ら雇用する労働者と同様に、積極的なテレワークの活用をお願いいたします(※)。
派遣労働者に関しテレワークを実施するためには、就業の場所などについて、労働者派遣契約の一部変更を行うことが必要になる場合があります。
この場合の契約の変更については、緊急の必要がある場合についてまで、事前に書面による契約の締結を行うことを要するものではありません。ただし、派遣元事業主と派遣先の間で十分話し合い、合意しておくことは必要ですので、ご留意ください。
※派遣先での派遣労働者に対する指揮命令は、必ずしも対面で実施しなければならないものではありません。業務の内容を踏まえ、テレワークによっても必要な指揮命令をしながら業務遂行が可能かどうか、個別にご検討ください。
(契約変更の例)
令和○年○月○日付け労働者派遣契約と同内容で、○○株式会社は、□□株式会社に対し、労働者派遣を行うものとする。ただし、就業の場所は、□□株式会社の△△事業所(テレワークを実施する場合には派遣労働者の自宅)とする。
問5 (派遣元事業主・派遣先の方)派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者の就業の場所を定期的に巡回することとされていますが、派遣労働者が自宅等でテレワークを実施する場合にも、自宅等を巡回する必要がありますか。
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」においては、派遣元事業主及び派遣先は、定期的に派遣労働者の就業場所を巡回することとしていますが、これは、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認するためのものです。
派遣労働者に対して自宅等でテレワークを実施させるときは、例えば、電話やメール等により、就業状況を確認することができる場合には、派遣労働者の自宅等まで巡回する必要はありません。
派遣元事業主と派遣先との連絡調整も的確に行うことで、派遣労働者のテレワークが労働者派遣契約に反せず適切に実施されるよう、必要な対応をお願いします。
問6 (派遣元事業主・派遣先の方)派遣労働者について自宅でのテレワークを実施するに当たって、派遣先として、自宅の住所を把握しておきたいのですが、派遣会社から教えてもらってもいいですか。
テレワークの実施に当たって必要な場合には、派遣先が派遣労働者の自宅の住所を把握することは差し支えありません。
ただし、派遣先からの求めに応じ、派遣元事業主から派遣先に対し、派遣労働者の自宅の住所に関する情報を提供する場合には、派遣元事業主として、派遣労働者本人に使用目的(テレワークの実施に当たって派遣先が住所を把握することが必要であり、派遣先に提供すること)を示して同意を得ることが必要になります(※)。
また、派遣先として、直接派遣労働者本人から自宅の住所に関する情報を取得する場合には、あらかじめ派遣元事業主に連絡の上、使用目的を本人に示した上で、本人の同意を得ていただくことが必要です。
いずれの方法においても、派遣元事業主及び派遣先の双方が、労働者派遣法や「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」、個人情報保護法の規定を遵守し、派遣労働者の個人情報を適切に取り扱うよう、必要な対応をお願いします。
※「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」において、派遣元事業主による個人情報の使用(提供を含む)は収集目的の範囲内に限られており、派遣元事業主から派遣先に提供できる情報は、労働者派遣法に基づいて派遣先に通知すべき事項のほか、派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られていますが、使用目的を示して本人の同意を得た場合はこの限りでないこととされています。