厚生労働省
【更新】新型コロナウイルスに関する企業向けQAの件
厚生労働省から日本経団連を通じ、新型コロナウイルスに関する企業向けQA(4月6日時点版)が公表されました。
【新型コロナウイルスに関する企業向けQA(4月6日時点版)】はこちら
4月3日時点版から変更された点は以下のとおりです。
※経団連事務局がチェックしているため、更新された点に抜けや漏れがある可能性がございます。ご留意ください。
[項目および設問の追加]
8 軽症者等の宿泊療養を実施する宿泊施設等の運営者の方向け
問1 施設運営に携わる労働者の感染防止を図るため、施設の組織運営の観点から配慮すべき点を教えてください。
施設運営に携わる労働者の感染症を防止するために実施すべき具体的事項は、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」(令和2年4月2日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡。以下「療養マニュアル」という。)に示されておりますので、ご参照願います。
その上で、これらの事項を効果的かつ効率的に実施し、労働者の感染等の労働災害を防止していただくためには、宿泊療養を実施する組織に、全体統括責任者(療養マニュアルの2(3)①の「全体統括責任者」のことを指す。以下同じ。)を配置し、あわせて、全体統括責任者が、業務のまとまりごとに感染防止に必要な措置を行う担当者と、担当者を管理する責任者を定めていただくことが望まれます。その際、担当者は感染防止対策に関する業務を確実に実施すること、責任者は施設運営に携わる全労働者の感染防止対策を実施させる責務を担うこととするなど、責任と権限の範囲を明確に定め、必要な業務が抜け落ちることなく遂行されることで、労働者への感染防止を図ることができるものと考えます。
なお、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合には、こうした衛生管理の知見を持つ構成員からなる組織を有効活用していただくとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただくことが効果的と考えられます。
また、施設運営にあたって、①保健医療の提供、②食事の手配、③生活支援(日用品・消耗品、リネン類の管理等)、④物品等配布回収(居室への荷物等の配布、ゴミ等の回収)、⑤警備などの業務については、複数の請負契約によって外部委託する場合が想定されます。こうした場合には、共通のスペースで複数の請負業者が同時に作業を行う結果、請負業者相互間で作業に関する連絡調整が不十分であれば、請負業者の労働者等が新型コロナウイルスに感染するリスクがあります(例:消毒が必要なリネン類について、消毒を行う請負業者とは別の請負業者の労働者が知らずに触ってしまう等)。
このようなリスクを低減するために、全体統括責任者は、①請負業者との連絡調整を行う責任者の選任、②請負業者との協議を行う会議の設置・運営、③請負業者の具体的な作業内容や留意点を記載した作業指示書の作成、④請負業者が自社の労働者に実施する感染防止対策に関する教育への指導・援助などを行っていただくことが望まれます。
問2 施設運営に携わる労働者に対して、感染防止対策について指導を行う際に配慮すべき点を教えてください。
軽症者等の宿泊療養を実施する宿泊施設等では、平常時と同様の業務を実施する場合であっても、以下の例のとおり、感染防止のための装備や、消毒の実施、換気の徹底等、作業環境や作業方法が異なります。施設運営に携わる労働者に対して感染防止対策の指導を行うことは、作業内容を変更した際に労働安全衛生法に基づく安全衛生教育を行うことと同様に、事故・感染防止に重要と考えられます。
(例)
・ 清掃の際には、手袋、サージカルマスク、目の防護具、長袖ガウンを使用し、次亜塩素酸0.1%溶液及びアルコールによりドアの取手やノブ、ベッド柵等を拭く必要があること。また、室内の家具・備品の消毒及び十分な換気を行う必要があること。
・ 体液で汚れたリネンを取り扱う際は、手袋、長袖ガウン、サージカルマスクを付け、80℃以上の熱湯に10分以上つける又は0.1%次亜塩素酸で消毒を行う必要があること。
このため、労働者が従事する作業内容に応じた感染防止対策について、保健所又は感染管理に知見を有する医師等から各業者の責任者等に対して指導を行っていただき、事前に防止対策の要点を労働者に周知徹底する必要があります。
また、新規採用者や今般の対応に伴う配置転換に伴い初めて当該業務に就く者、外国人労働者等を含め、すべての労働者が内容を十分に理解できるよう丁寧に説明していただき、教育の実施状況を確認していただく必要があります。
問3 施設運営に携わる労働者が風邪症状を呈した場合には、どのように対応したらよいでしょうか。
新型コロナウイルスに感染した場合、数日から14日程度の潜伏期間を経て発症するため、発症初期の症状は、発熱、咳など普通の風邪と見分けがつきません。このため、発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考慮した労務管理を行っていただく必要があります。
具体的には、次のような対応が考えられます。なお、①高齢者、②基礎疾患がある者、③免疫抑制状態にある者、④妊娠している者は、重症化のおそれが高いと考えられるため、施設運営に携わることのないようにすることが望ましいですが、もし施設運営に携わらざるを得ない状況である場合には、特に配慮をお願いいたします。
・ 発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除を実施するとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
・ 労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合い、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
・ 風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、マスク着用の上、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
・ 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」を労働者に周知・徹底し、これに該当する場合には、帰国者・接触者相談センターに電話で相談し、同センターから帰国者・接触者外来の受診を指示された場合には、その指示に従うよう促すこと。
問4 施設運営に携わる労働者がPCR検査陽性となった場合に備えて、準備しておくことはありますか。
万が一、新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者(全体統括責任者にあっては「労働者及び請負業者」)に周知してください。
・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者や全体統括責任者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲等)。
・ 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること。
・ 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと。
・ その他(保健所との連携や、必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等)。
問5 施設運営に携わる労働者に対して、労働条件の面から配慮することはありますか。
軽症者等の宿泊療養を実施する宿泊施設等においては、労働者に対して、問1~4でお示ししたようなマニュアルや、各施設等で作成される対応マニュアル、万が一、労働者が新型コロナウイルスの陽性者やその濃厚接触者となった場合の措置等について、あらかじめ十分に共有するようにしてください。
また、労働基準法その他の労働関係法令について遵守をお願いするとともに、特に軽症者等の宿泊療養等を実施する際の対応として、
① 緊急対応時を含め、具体的に各労働者が実施すべき業務の内容、程度や、それに対応する賃金の額などの労働条件を明確にしておくこと
② 労働者が新型コロナウイルスの陽性者やその濃厚接触者となった場合の休業制度や、休業に伴う手当等についても、あらかじめ労使で話し合い、十分に共有しておくこと
③ 労働者の長時間労働による健康障害を予防するため、医師による面接指導が確実に実施できる体制を整備すること
などにも配慮をお願いします。