中小企業の事業継承に関わる税務問題と対応について

中小企業委員会 荒木委員長(日興テクノス)


 

  8月27日に、6名の委員と会員が参加し、「中小企業の事業継承に関わる税務問題」について中小委員会を開催した。これは、社会の枠組みが大きく変化し景気低迷が続く中で、中小企業自身も自助努力して強くなることが大事であるが、一方で税制の中には、こうした努力の障害となっているものがある。そこで、経営者協会を通して提言につなげられればという思いから税を理解する勉強会を実施した。
  委員会では、橋本委員から税の問題点を説明戴き、続いて取り引き相場のない株を相続する場合の相続税を中心に、藤上税理士(浜銀総研顧問税理士)より詳しい税の内容と対応を説明戴いた。

1.税に関する現状の問題 (橋本委員 日本濾水機工業 取締役社長)

  税は国民が必要とする公共サービスを賄うためのコストであり、納税は国民の義務である。また、国際的にみた場合、日本の税の負担率は抜きん出て高いわけでもない。しかし様々な問題がある。

  1. 国民が必ずしも必要としない公共サービスが増えたり、また一部の組織を救済するための投入など、税の使い道について国民の意見が反映されにくい仕組みになっている。
  2. 国民年金の未加入増加と同じように法人税の未納や消費税の滞納が増加している。義務感だけで成り立っている仕組みでは危ない。納税者へ何かメリットが出る仕組みが必要ではないか。
  3. 中小企業についていえば、同族会社のみに一定限度を超えた留保金への課税がある。
  4. また同族中小企業にとって非常に大きな問題として、事業承継時の自社株相続がある。額面 50円の株が 1,000 円にも 2,000 円にも評価され、多大な税を、現金により一時に支払うことになる。努力して良い会社にすればするほで、この問題は大きくなる。解散できない会社を解散したと仮定したり、売れていない株を売れたと仮定して株価を評価する仕組みに無理がある。農地の場合、農業を続ける限り評価額が90%猶予されている。

2.同族株の評価と対応 (藤上税理士 浜銀総研顧問税理士)

1)同族株の評価

一般に以下の2種類の評価方法により評価した株価を、業種、会社の規模、売上額などに応じて定められた比率で計算し算出。 (1.> 2.の順に評価額が高い)

  1. 純資産方式 :会社を時価評価し ( 解散または売ったと仮定 ) 、純資産額から評価
  2. 類似業種比準方式 :上場している類似業種の株から算出

2)相続対策

同族株の相続は、長い間に蓄積した含み益に対する税を、一時に現金で支払うことになるため問題がおきる。対策として、税額を軽減する対策と、資金を準備しておくことの2つがある。

  1. 会社の評価を下げる
    先ず株価が高い原因を調べ純資産価格を引き下げる。具体的には、より評価の低い不動産、株、ゴルフ会員権など評価の低い資産へ移しておくことがあるが、今はやる人はいない。
  2. 株数を減らす
    経営権をなくさない程度に株数を減らしておく。但し分散しすぎると後で問題を起こす。
  3. 生前贈与
    今後値上がりする資産(株)や配当のある資産(賃貸マンションなど)を生前贈与する
  4. 贈与
    毎年一人に 500 万円贈与する。税額は 53 万円程度であり、 2 割の相続税を払うより安くなる。10年で 5,000 万円移せる。対策は出来るだけ早く始めたほうがよい。