非正規社員を活かす人材マネジメント



 

第104回教育研究会(平成16年7月16日開催)にて外資系流通業(ギャップジャパン)における非正規社員の人材マネジメントについて同社人事部長中島豊氏に事例をご発表いただいた。主な内容は次のとおり。

経営と個人の融合

人材マネジメントは、二つの異なるニーズを満たす必要がある。(1)企業戦略やビジョンを達成し、企業の価値を高める (2)個人にとって、働く状況に不満がない「働きやすさ」と仕事に対してより積極的な関与を引き出す「働き甲斐」を獲得することである。これまでの人材マネジメンでは、企業は「自己実現人」の若者に対して企業への同一化・同質化を持つことを求めがちであったが、これからは「個人のコミットメント(意欲と責任)」を引き出し、組織に貢献する意欲を持たせるような人材マネジメントが必要。今、働く場に求められることは達成感と帰属意識である。

4ツの原則

その仕組みとしての四つの原則があげられる。

この四つがうまく動くためには、人間関係が重要である。

今後の人材マネジメントの課題

グローバル競争激化に備え、デフレ傾向のもと売り上げに対する人件費の割合が一定にあるように管理する。正社員の固定費は一定であるため、安価な人件費と調整の容易な労働力として非正規社員の雇用が増。
しかし、一般的に非正規社員の組織に貢献する意欲は希薄と思われている。

ギャップジャパンの取組み

同社では労働力の大半が非正規社員であり、直接顧客と接する販売員である。非正規社員を「補助的な労働力」として雇用するのではなく、「職場の戦力」として活用し社員全体のやる気を高めている。そのマネジメントは前述の四つの原則を正規・非正規にかかわらず繰り返して実践していくことである。具体的には
<原則1>職務主義を採用し正社員とパート・アルバイトが同じ職務に就くことはない。
<原則2>適性のあるメンバーを前例にとらわれないやり方(売場で行う選考・面接など)で採用し考えさせるトレーニング教育を行う
<原則3>目標達成評価し、評価の結果を次の目標にする。人材育成(どれだけ人を育てたか)に対する評価を重視し、ほめる文化の定着
<原則4>同社の店舗は店長を頂点としたピラミツド型の階層組織。パートタイマーも店長になれる(確立は1/10)。パート全員が必ずしも正社員を望んでいない。本人が競争原理を選択し切磋琢磨させている。

人間関係の重視

この制度が機能するには組織の中で働く人間の相互が重視されてくる。
Face to faceのコミュニケーションを実施しトップを含む上層部の管理者が店舗に出向き直接話すことで信頼感を深めている。